疾患と治療

眼精疲労・VDT症候群

眼精疲労

単なる疲れの場合は一晩ぐっすり眠ると治りますが、眼精疲労は休んでも治らない状態です。
目が重い、ショボショボする、目の奥が痛い、かすむ、充血する、目が乾くといった目の症状以外にも、肩こり、頭痛、吐き気といった体の症状、イライラやうつ病などの心の症状をきたすことも少なくありません。

眼精疲労

ストレスが重なると自律神経のバランスが崩れ、交感神経優位となるために副交感神経に支配される涙の分泌が少なくなってドライアイをきたしたり、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかず、ぐっすり眠れなくなったり、肉体的にも精神的にも不安定になりがちです。

すり眠れなくなったり、肉体的にも精神的にも不安定になりがちです。 また、こういった状態が続くと、ピントをあわせる毛様体筋の過緊張で近視が進んだり、目を動かす外眼筋の過緊張で眼圧があがって緑内障が進行したりしやすくなったり、中心性漿液性網脈絡膜症などのストレスからくる目の病気、老化に伴う白内障や加齢性黄斑変性症などの病気も進行しやすくなるといわれています。

眼精疲労の原因

眼精疲労は様々な原因により引き起こされます。詳細な検査と問診にて原因を究明することも眼精疲労の克服には必要です。

目や体へのストレスが原因となる主なもの
  • 不適切なメガネやコンタクトレンズの使用
  • VDT症候群(コンピューター、テレビやゲーム機、パソコンなど)での目の酷使、読書などの近業作業 (毛様体筋の過緊張による調節機能低下や近視化、瞬目減少によるドライアイなどを引き起こす)
  • 不規則な生活などによる体内ホルモンバランスや日内リズムの乱れ
  • 姿勢不良や運動不足による血流、リンパ流の鬱滞・循環障害
  • 偏食による必要栄養素やミネラル摂取不足
  • 水分摂取不足
  • 過労や精神的ストレス
  • 空気の乾燥、汚染、粉塵など
目や体へのストレスが原因となる主なもの
  • 屈折異常(近視・遠視・乱視)や眼疾患による視力低下
  • 斜視、斜位など
  • 頚肩腕症候群・五十肩
  • 糖尿病、高血圧、高脂血症などにより引き起こされる血管異常と循環障害
  • 脳梗塞や脱髄疾患による神経麻痺
  • 自律神経失調症
  • 代謝性疾患による体内ホルモンのバランス異常
  • シェーグレン症候群、結膜弛緩症などによるドライアイ
  • 角膜疾患、結膜疾患、眼瞼疾患などでの目の表面の異常
  • 緑内障などでの眼圧上昇、視神経障害
  • ぶどう膜炎などの目に炎症をおこす病気
  • 瞳孔、調節、輻輳に影響する神経の病気
  • 睡眠時無呼吸症候群

オフィスワーカーには「眼精疲労」と「ドライアイ」を訴える人が非常に増えており、約80%の人が何らかの目の症状を訴えています。

特にパソコンなどのVDT作業を長時間おこなった場合は、

(1) ストレスによる自律神経のアンバランス(交感神経系の過興奮)
(2) 画面を凝視することによる瞬目減少(まばたきが少なくなる)

といったことが生じるため、(1) による涙液分泌低下と、(2) による目の表面の乾燥により、ドライアイを合併した眼精疲労の症状を生じやすくなります。
当院ではこういった方のために、ドライアイに有効なヒアルロン酸点眼液、防腐剤の入っていない人工涙液等の点眼処方、涙点プラグ挿入などの治療もおこなっています。

検査項目および問診事項

検査項目

  • 裸眼視力検査
  • 最大矯正視力検査
  • 調節検査*
  • 屈折検査(片眼遮蔽および両眼解放*
  • 細隙灯顕微鏡検査
  • 精密眼底検査
  • 精密眼圧検査
  • 涙液分泌検査*
  • 眼筋機能精密および輻輳検査*
  • 両眼視機能検査*
  • 精密視野検査*
  • 中心フリッカー値*
  • 生体染色検査*
  • 涙液クリアランス*
  • 角膜曲率半径*
  • 角膜形状解析*
  • 角膜内皮細胞検査*
  • 負荷後屈折検査*
  • 静的量的精密視野検査*
  • 動的量的精密視野検査*
  • アレルギー検査*
  • 血液検査*
  • コンタクトレンズのチェック(レンズチェックおよび装用状態の確認)
  • メガネチェック(適性度数と使用方法の確認)

以上の検査はすべて当院で施行可能です。
*印の検査については医師の診察で必要と認められた方のみおこなっています。

問診事項

  • メガネやコンタクトレンズの使用歴・使用方法・使用頻度
  • 肩こり・頭痛・腰痛などの状態
  • 目や体の病気の既往
  • 職種や仕事内容
  • 近見作業(読書・勉強・趣味など)の時間
  • テレビの視聴時間
  • パソコン・ゲーム機などの使用頻度
  • アレルギーの有無(種類・時期)
  • 生活習慣(睡眠時間・リズム)
  • 食事(栄養バランス・摂取水分量)
  • 運動量
  • 姿勢
  • 生活環境(埃・粉塵・臭い・煙・騒音・振動・化学物質・シックハウス・動物飼育・植物栽培など)
  • その他の肉体的ストレス・精神的ストレスの有無など

VDT症候群・VDT検診

IT(情報技術)化が急速に進み、VDT(Visual Display Terminals)つまりコンピューターやテレビなどが広く職場や生活の中に導入されています。VDT作業に伴い身体的疲労、精神的疲労を感じる人達が増えてきており、平成10年に実施された労働省の調査では精神的疲労を感じているものが36.3%、身体的疲労を感じているものが77.6%にも上りました。VDTを使った作業により引き起こされる身体的精神的不快症状をVDT症候群、別名テクノストレス眼症といいます。

平成14年4月に厚生労働省により策定された新たな「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」よると、配置前健康診断、定期健康診断が奨励されているが、その受診率は約12%と低迷しています。その最大の理由は企業側がVDT健診を実施しなかったものが約70%で、VDT健診を本格的におこなう施設が少ないこともその要因となっています。 そんな中、ITの普及によりますますVDT作業の機会は増えており、VDT症候群に悩まされる人も少なくありません。当院ではVDT検診も行っております。VDT検診が健康管理・業務効率のアップにつながれば幸いです。

※検診費用は全額自費診療です。

症状

身体的症状
目の疲れ、視力低下、目の痛み、ドライアイ、額の圧迫感、首や肩や腰の疲れ、背中の痛み、手指のしびれ
精神的症状
疲労感、倦怠感、めまい、吐き気、不安感、抑うつ状態

VDT検診検査項目

当院でのVDT健診項目には厚生労働省「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」の配置前健康診断、定期健康診断、健康診断結果に基づく事後措置の項目が全て含まれています。

視力検査
左右の眼について、通常のVDT作業時の状態で検査します。コンタクトレンズを装用している場合は、その状態での検査でも差し支えありません。5m視力と近見視力検査を測定します。近見については、片眼視力で両眼とも概ね0.5以上が望ましい視力です。
屈折検査
視力低下の原因として屈折異常があるかどうかを確認します。50cm程度の視距離で望ましい矯正視力が得られるよう指導をします。
眼圧検査
日本人の40歳以上の5~6%は緑内障です。目の疲れや視力低下が眼圧上昇による緑内障であることも考えられます。
調節機能検査
近点距離の測定により調節機能を測ります。両眼の近点距離が40cm以上の場合は、近用眼鏡を使用したり、ディスプレイ画面の大きいものに変更し十分な視距離を確保することが必要です。/dd>
眼位検査
眼位に異常がある場合、近業時に眼性疲労を生じやすくなります。斜視や斜位がないかその程度を判定します。
立体視機能検査
同時視・融像・立体視など、両眼視機能に問題がないかどうか調べます。
細隙燈顕微鏡検査
涙の状態や眼疾患がないか医師が診察をします。
眼底検査
網膜疾患、視神経疾患がないか医師が診察をします。

目に対するオフィス対策

  • 一時間に10~15分は休憩をとり、目を休めましょう。
  • 首、手、肩を適度に動かしてストレッチを行い、緊張をほぐしましょう。
  • 眼鏡やコンタクトレンズは度数の合ったものを使いましょう。
  • 糖光源から直接または間接に受けるギラギラしたまぶしさは不快感を増長します。作業環境の管理として、ディスプレイを置く位置の工夫、傾きの調整を行いましょう。
  • 作業者の体系、好みに合わせて適切に調整できる椅子が好ましく、床からの座面の高さの調整範囲は、37~43cm程度が望ましいです。
  • ディスプレイ画面やフィルターにほこりや手垢が付着して画面が見えにくくなったり、室内湿度が低下すると静電気発生の原因になります。ごみの付着によるマウスのカーソル移動の困難さをなくすよう、適切に清掃を行いましょう。

オフィス対策