疾患と治療

結膜・眼瞼手術

白目(結膜)やまぶたの病気にもいろいろなものがあります。ここではよくある病気についてご紹介致します。

翼状片

しろめ(結膜)の病気にも様々なものがあります。よくみかけるのは、結膜がくろめ(角膜)に入ってくる翼状片という病気です。

紫外線などが原因といわれたりしますが、原因ははっきりと分かっていません。大きくなると乱視が起こって視力が低下したり、さらに大きくなると瞳(瞳孔)にかかって視力が低下することがあります。

予防というのは特になく、大きくなってきた場合は手術が必要な場合もあります。

治療

目薬などの治療はなく手術のみとなります。手術は、伸びてきた翼状片を切り取ります。ただ切り取っただけでは再発してくることがあるので、正常な結膜を別の場所から持ってきて移植します。そうすることで再発する確率をへらすことが出来ます。

再発に関しては、若ければ若いほど、大きければ大きいほど再発しやすくなる傾向があり、再発した翼状片は手術前よりも大きくなることもあります。

切除するタイミングが難しく、小さいうちに取ってしまえば再発しにくいが再発するとやっかいです。では大きくなってから取るとなると再発しやすくなってしまいます。また、大きくなると翼状片を切っても、黒目(角膜)が白く濁ってしまうことがあります。

切るタイミングは医師によって様々ですので、担当医とよく相談することが大切です。当院では、視力が低下したり、見かけ上お困りの場合に手術を行っております。

翼状片の手術

  • 翼状片内側に充血した結膜が入ってきています。
  • 翼状片翼状片は取れましたが、進行していたために黒目(角膜)に少し混濁が残った例です。

※写真は58才男性

手術スケジュール

  • 手術申し込み。日帰りでおこなっており、通常は1~2ヶ月待ちくらいです。手術前には当院での術前精密検査の他、手術に際し体の病気が影響しないかどうかなど内科等の医師に問い合わせをさせて頂く場合があります。
  • 手術当日。手術自体は20分くらいです。手術後は眼帯をし、翌日に外します。
  • 術後3日、1~2週間後(抜糸)、1ヶ月後、その後は適時診察となります。
  • 術後3日くらいは入浴を控えてもらいますが、その後は通常の生活で構いません。眼を使ってもよいし、顔を洗ったり、温泉に行ったり、スポーツも可能です。
  • 術後は充血が続きます。1ヶ月もすると充血もだんだん引いていきます。3ヶ月するとほとんど分からなくなります。

合併症について

  • 術後再発することがあります。若ければ若いほど、大きければ大きいほど再発しやすくなる傾向があり、再発した翼状片は手術前よりも大きくなることもあります。30才以下では約半数に再発するという報告もありますが、70才を過ぎていくと再発率は20%以下になります。
  • 翼状片を取りすぎると、その近くにある眼を動かす筋肉の付近に癒着が起こり、外側を向くと眼の動きが制限されて、ものがだぶって見えることがあります。通常見る分には問題ないのですが、車を車庫に入れるときのように横をグッと向くような時に、ものがだぶって見えることがあります。その場合、基本的にはそのまま様子を見ますが、だぶりが強いようであれば手術を行うこともあります。
  • 術後に充血が残ることがあります。特に再発した場合などは真っ赤になることがあります。6ヶ月ほど様子を見て治らない場合、強いご希望があれば再手術を検討する場合もあります。

費用

治療は全て保険診療で行い、手術の種類によって料金が変わります。
1ヶ月の医療費が高額になる場合は、高額医療保険が使える場合があります。詳しくはスタッフまでお問い合わせ下さい。

結膜弛緩症

年をとってくるとしろめ(結膜)がたるんでくることがあります。私たちの目には涙がきれいに目全体に貯まるような仕組みになっているのですが、結膜がたるんでいると涙をうまく貯めることが出来ずに目が乾いた感じになることがあります。瞬きしたときに違和感を感じたり、何か入っているような感じ(異物感)になることもあります。

症状が強くなければ放置して構いませんが、症状が強い場合は、余っている結膜を切除することで症状が取れます。

治療

基本的には放置して構いません。ただ白目(結膜)がかなりたるんでくるものに関しては、違和感や異物感が強くなりますので、手術をご希望される場合があります。余っている結膜を切除する方法、焼灼する方法、伸ばして縫う方法とありますが、術自体はさほど辛いものではありません。
15分くらいの手術となります。

結膜弛緩症の手術

  • 結膜弛緩症下まぶたにある白い帯状の膜が余った結膜です。
  • 結膜弛緩症白い膜はなくなりすっきりとなりました。

※写真は70才女性

手術スケジュール

  • 手術申し込み。日帰りでおこなっており、通常は2,3ヶ月待ちくらいです。手術前には当院での術前精密検査の他、手術に際し体の病気が影響しないかどうかなど内科等の医師に問い合わせをさせて頂く場合があります。
  • 手術当日。手術自体は片眼15分くらい、両眼する場合は30分くらいです。手術後は片眼のみ眼帯をし、翌日に外します。
  • 術後3日、1~2週間後(抜糸)、1ヶ月後、その後は適時診察となります。
  • 術後は眼が赤くなりますが、だんだん引いていきます。1,2週間もするとほとんど分からなくなります。

費用

治療は全て保険診療で行い、手術の種類によって料金が変わります。
1ヶ月の医療費が高額になる場合は、高額医療保険が使える場合があります。詳しくはスタッフまでお問い合わせ下さい。

麦粒腫

まぶたにできものができることも良くあります。九州では「ものもらい」「おひめさん」「めばちこ」などと言われているものです。似ていますが少々異なります。
「ものもらい」といわれるものは麦粒腫といって、まぶたにバイ菌が感染することで炎症を起こします。治療法としては抗生剤の点眼で治ることがほとんどです。バイ菌が明らかに貯まっている場合は針で潰して中のバイ菌を出してしまうと早く治ります。

霰粒腫

「おひめさん」は霰粒腫といって、油を出す分泌腺が詰まってまぶたに油が貯まってしまう状態です。時々感染を伴って痛みや炎症を起こしていることがあります。痛みがないものに関しては放置しても構いません。炎症を繰り返す、見かけ上気になる、皮膚側に潰れてくるなどの場合は切開することもあります。特に皮膚側に潰れてくる場合は切った方がきれいなります。また切開する場合、傷跡は残りません。

治療

赤く腫れたり、痛みがあったりする場合は目薬を使って炎症を抑えます。「しこり」となって腫れや痛みがない場合は目薬が効きませんのでそのまま様子を見るか、切開して「しこり」の中身を出してしまいます。外に潰れてくる場合は真っ赤になって皮膚が薄くなって中身が出てきます。一回では出てしまわないので潰れて治って潰れて治って‥を繰り返しながら治っていきます。

そうなる場合は皮膚が薄くなる前に皮膚をきれいに切開して中身を出してしまえば治ります。傷は残りませんし、その方が早くきれいに治ります。場合によっては切った方がよいということになります。

また、奥にある場合で見かけ上気になるなどで切開を希望される場合は中から切りますのでこの場合は傷は残りません。
そのまま様子を見るか切開するかは医師とよく相談して決めましょう。

霰粒腫の切開
  • 霰粒腫切りたくないとのことで様子を見ていましたが大きくなっていきました。
  • 霰粒腫皮膚が痛んでしまう前に切開しました。術後約1ヶ月です。まだ切った場所は分かりますが徐々に消えていきました。

※5才男児

手術スケジュール

手術前の検査は特に必要なく、薬物アレルギーがないかなど簡単な問診のみ行います。完全予約制のため当日行うことができませんので1週間以内に予約を入れて行います。

合併症について

切ってしまえば再発しない、というものでもありません。霰粒腫が出来やすい体質、というのがありますので、右目にできた後に左目にできたり、上まぶたにできた後に下まぶたにできたりすることもあります。同様に同じ場所にできたりすることもあります。また、切った後に目が腫れたり、皮下出血で「くろぢ」のようになったりすることがあります。

すでに皮膚が痛んでしまっている霰粒腫を切開する場合、そのまま痛んだ皮膚で縫合しますので皮膚がきれいになるまで傷が残ったようになります。これは手術によるものではなく霰粒腫によって皮膚が痛んだ結果です。数週間もすればきれいになることがほとんどです。皮膚が痛んでしまわないうちに切開することをお勧めします。

費用

治療は全て保険診療で行い、手術の種類によって料金が変わります。
1ヶ月の医療費が高額になる場合は、高額医療保険が使える場合があります。詳しくはスタッフまでお問い合わせ下さい。